プール吸引口の事故


夕方のニュースで、今日もプールの吸引口の事故をやっていた。
まったく、痛ましい事故だと思う。
けれど同時に組まれて居たのが、シンドラー社エレベーター事故との類似点の指摘だった。


曰く、管理の責任が、親会社から子へ、子から孫会社へ、委任されていたらしい。
僕はそれを聞いた時、「防げた事故」として報道されているプール吸引口等の事件は
大局的に見れば起こって当然とも言える状況になってきてるんじゃないかと思った。


仕事の委任、権利の委任。それは近年頻繁に聞く言葉になってきてる。
派遣社員や、アルバイトなんかも含まれることね。
そうなった理由は色々あるけど、大きなものとして「人員削減」がある。
正社員を増やすはいいけど、リストラがしにくい、減らしにくい。バブルの経験で味わったわけだ。
だからこそ、増やしやすく何より減らしやすい、派遣やアルバイトの比率が増えてきた。


しかしその結果として、得るものもあれば失うものもある。当然。
その失うものの一つが、責任感や業務内容の認識なんかの”意思疎通”
「仕事内容」はともかく、それに対する「意識」までは、なかなか浸透しにくいもの。
同じ人がずっとやってたのから、新人がホイホイ入るシステムになったんだから、低くなるのは当たり前。
さらに経験はもとより、その仕事に対する意識ってのは、所詮雇われって感じで薄くなる。


新しく起きたプールでの事故も、そこに居た監視員は全員アルバイトだったみたいだし。


人材の流動化は、絶えず流動する市場経済に対しては
無駄を無くすって意味で非常に有効だと思うわけだけどね。その裏に隠された犠牲もある。


―でも、だとすればどうすれば防げるのか?
安全面に対するコストだけは削らず、必要ないコストだけ切り詰める。そう聞く話が多いけど。
確かに理想だとして、言うほど簡単なもんじゃない。ハッキリ言って正確な判断なんて無理じゃないかと思う。
ならばあとは2つ。
一つは、雇われる側が、派遣だろうとアルバイトだろうと、責任感と仕事に正確な認識を持つこと。(これも難しいかもね。僕にゃ無理だ。)
もう一つは、利用する側の危機管理などの意識を上げること。この2点しか無いように思える。


いずれにせよ、人材流動化の波は決して止まらない。社会全体の動きさ。
問題はそれによって起こる不具合を、いかに解決していくかだと思った。