神様のパズル


神様のパズル (ハルキ文庫)

神様のパズル (ハルキ文庫)


夏休みに鳥人間コンテストで滋賀のHRVST宅へ行ったとき、貸してもらった本なんだけど
先日読み始めて、読み終わった。サンクスHRVST。


感想:めっちゃ面白かった
大学の物理ゼミに通う出来の悪い学生と、17才の天才少女を主な登場人物に
特殊相対性理論プランク定数など小難しい話が出てくるんだけど
そーゆーの抜きにしても、青春ストーリーとして十分際立った作品だった。


少なくとも、物理ついてわけのわからん論争を終始続けるだけ、なんて作品ではない
起承転結はしっかりしてて、感情や展開の起伏も予想以上に大きく、エンタメ的な部分もある作品。
宇宙の作り方の研究をしながら田植えをするという、主人公の対比が素晴らしかった。


―しかし、そのうえで
自分の心に強く残ったのは、どこまでも物理にしがみつき、物理で全てを解決しようとする
序盤の天才少女の姿

「宇宙の始まりが答えの出ないものならば、この現実も非現実的なものに思えてならない。
 この問題を無視して、生きている気がしないのだ。」

論としては間違ってると思うけど、気持ちはとてつもなくわかる。


さらに、こんな場面もあった。その少女の理論の構想が座礁したとき
部屋の電気を真っ暗にし、サブノートを投げ出して、壁にもたれかかってじっとしていた、と。
当たり前だけど寝てたわけじゃない。考えてたんだ。―もうこれ読んだ瞬間、人間的に一目惚れだよね。
何処の世界にこんな女の子が居るよ。
僕の観点で存在が美しいとは、まさにこういうことを言うわけだ。


まぁ1年365日そうである必要は無いにしろ
自分が信じたものに矛盾や妥協を許さない頑固さは、持っていたいと感じた。