帝王学―「貞観政要の読み方」読了


基本的に、書いてあったのは、日本(引いてはアジア)古来の考え方だったような気がする。
即ち、上に立つものほど滅私の心で苦労を惜しまず、謙虚な気持ちで問題に当たるべきというね。


贅沢は敵だ。他人の意見に謙虚に耳を傾けろ。感謝されて当然という意識は持つな。
自分を特別な存在だと錯覚するな。人を見極めろ。「義」と「志」を忘れるな。


これは古来から現在に至るまで、上の人間があれだけ苦労してるんだから、自分も頑張ろう
―という気になれる日本的な倫理観に沿った内容な気がする。


その反対が欧米の倫理観
上は、ある程度好き勝手やっても良く、部下はそうなりたいがためにその地位を目指して奮起する。
これは外国系企業ほか、ホリエモンとかの最近の企業に見られる倫理観だと思う。


実際、連れで卒業研究に「君主論」という、欧米版の帝王学のようなもんを卒研にしてる連れが居るんだけど
その話を聞く限り、目的のためなら、部下にバレさえしなければ汚い手段を使ってもいいと書いてあったよう
それはまさに欧米企業の考え方であり、いくつか最近になって日本に輸入され始めた考え方な気がする。
デスノートの夜神ライトなんてその典型だろう。
ああいうのが人気になる時点で、現代の思考は欧米の側にシフトもしてきているような気がする。


けれど、それが出来るのは自分の悪行(と場合によっては取れる行為)に耐えられる精神と
それを周りに隠せるだけの技量を持った人間に限られるわけで
さらにそれを続ければ、いつかはボロが出るのは間違いないとも思えるし
一時の繁栄より、長期に渡って集団が存続することを考えるのならば、帝王学の方が優れていると思った。