どの宗教が役に立つか

どの宗教が役に立つか (新潮選書)

どの宗教が役に立つか (新潮選書)

つまらん。買って損した。久々に心の底からそう思わされた本だった。どの宗教が役に立つかを考えるうえで、この本はまったく役に立たなかった。

こう言うと、え?なんか宗教入りたいの?と勘違いされそうなのでことわっておくと、教養の講義で宗教の問題を取り扱って興味を持ったのがきっかけである。別に入りたいわけじゃないけど、持ってた先入観ほどに宗教も害ではないのなと思ったのが大きい。
http://iwatam-server.sakura.ne.jp/column/47/index.html
一言で言うなら、上の記事で書いてある通りのことを思ったから。

しかし、この本はまったくそれに対する答えが書いてなかった。それどころか、半分は与太話に終始しており、またそれが各章通しててんで繋がっていないって印象。もっとこう、各宗教の根底思想から、その結果どういう風習があるかまでを、表にまとめるなどしてピシッと比較対象して書いて欲しかった。そういう体系的なまとめかたは、非常に文系要素の強い社会学では難しいことはわかるんだけどさ。基準が作りにくいからね。

とは言え、まぁためになった部分も少しだけある。やっぱ宗教は無いわー、ってか僕にはまだ早いわ。この本に書いてあることを信じれば、だけど。基本的に諦めと慰めを促すものなんだね。例えば何か望んだ結果が出なかったとき、キリスト教なら”それは神がそうさせた運命だから仕方ない”。仏教なら”そもそもそんな欲持たなければいい”。って諦めと慰めをくれる。さらに、日本人は宗教に何か利益を求めて入る。けど実際の宗教は信じることそれ自体が救い。信じれば良いことがあるじゃなく、信じること自体が良いことなんて、そんな盲目にゃなれません。だって神さまが居るなんて思えないもの

しかしでも、確実に良いと思えるところもあるんだけどね。それは例えば安息日の概念。それが宗教的にどういう大義名分で行われてるかは、各宗教それぞれあるだろうし興味もないんだけど

安息日の科学的・哲学的意味」
ユダヤ教において、金曜日の日没から土曜日の日没にかけては、あらゆる世俗的な仕事や労働や学問を行ってはならないとされている。また、ユダヤ教キリスト教、ならびにイスラム教は、偶像崇拝を厳禁する一神教であるため、彼らの神は神を信じる者らのイマジネーションのなかで想像するしかない(確かに、カトリックなどでは、主イエス・キリスト聖母マリアなどの肖像が掲げられてはいるが)。すなはち、敬虔な信徒らは、7日間に1日は彼らが所属している社会から「切り離され」ることにより、彼らが所属している既存の社会に対する諸問題を発見したり、無意識のうちに既存の社会に対して無批判に同化したり洗脳されることなく、既存の社会に対してクリティカル・シンキングを行えるようにしている。 ―Wikipedia

とある。これだけは確実に良いことだと思う。これするためだけに色々探してたって言っても過言じゃない。会社にしろ個人にしろ、宗教が無いことで結果的にこういう機会が少ない日本人はどれだけ損をしていることか。